うごメモシアターの基準は CERO A 準拠ではない

かわいいメモを描かれていて人気があっただいずさんの「コスプレたいけつ」というメモが、ガイドライン違反のためうごメモシアターで非公開になった。それを受けて、だいずさんは他の作品ともども削除し、うごメモからの撤退を表明された。

「コスプレたいけつ」は既に削除されているが、上記メモのコメント欄ハイクの書き込みから判断する限りでは「キス」「水着・コスチューム」といった描写がガイドラインに抵触したと推測される。しかし、個人的な感覚ではあるが、「コスプレたいけつ」は児童が閲覧して問題がある作品とは思えなかった。非公開処置の基準が厳しすぎるのではないか、と感じる。「うごメモシアター」掲載基準については一度「コスチュームって禁止されるほど性的な表現なの?」でエントリーを書いたが、改めて取り上げてみたい。

前掲エントリーの繰り返しになるが、「うごメモシアター」掲載基準は、家庭用ゲームソフトの年齢別レーティング制度で「全年齢対象」(CERO倫理規定におけ「A」)となる基準に準ずるもの、とされている。そして、具体的には「キス」「水着・コスチューム」「対戦格闘・ケンカ描写」といった内容が禁止されている。しかし、CERO倫理規程を読んでみると、「キス」「水着・コスチューム」などは審査対象ではあるものの、禁止表現とは書いてないのだ。

審査の対象となる表現項目は、「2.レーティングの対象となる表現項目」の24項目で、それぞれの表現項目には上限があり、上限を超える表現内容を禁止表現とし、禁止表現を含むソフトにはレーティングを与えないようにしております。

年齢別レーティング制度とは?

そこで、CEROに審査基準が定められている内規の開示を求めてみたが、公開していないとの返事であった。あわせて、「うごメモはてなではCERO A準拠と言っているが、CEROの審査基準では『キス』等の表現は禁止表現なのか」についても質問したところ、禁止ではなくあくまで表現度合等に基づいてレーティングしているとのこと。「 『株式会社はてな』様のサービスガイドラインは、サービス提供者としての独自の判断で設定されているものと存じます。」とのお返事であった。

はてなは「CERO Aに準ずる」と言っておきながら、実際には CERO A よりも厳しい基準を設けていることになる。

もっとも、ユーザーが「CERO A より厳しいのはケシカラン」というのは筋違いというものだろう。ガイドラインはサービス提供側が一方的に定めるもので、ユーザーはサービスを利用する以上はそれを守らねばならない。

ただ、今回のだいずさんの件に関しては、自分の中にモヤモヤしたものが残っている。

  • ガイドラインが悪い……それは筋違い
  • ガイドライン違反作品を投稿したのが悪い……正論なんだけど
  • 通報したのが悪い。見逃せよ……そう、通報しないのが「みんな幸せ」だったんじゃないかなぁ
  • 現金ばらまき通報システムが悪い……通報のインセンティブになってるだろう
  • 非公開にしたのが悪い……ガイドラインに従って非公開にするのは妥当だろう。判断を保留したまま放置という手もあるが、投稿者に通知が行かないだけで「うごメモシアター」非公開と同じだろうし
  • 撤退したのが悪い……ご本人が決めたことなので仕方がない。これがきっかけで何か良い変化のあらんことを

私もちょくちょく通報していたのだが、今回の件では通報された側の感情について考えさせられた。考えがまとまるまで、一時通報はお休みしたい。

最後に、お忙しい中このような質問に丁寧にお答えいただいたCERO事務局に感謝する。